2021.08.23
株主間契約の改定について(補足)
先般、株主間契約の改訂(第6条を追加)についてリリースを行いましたが、その内容につき質問等を頂いておりますので、補足説明をさせて頂きます。なお、詳細につきましては、8月2日に公表しました「株主間契約(ひな形)」及び「株主間契約について」をご参照ください。
1.導入の目的
・株式投資型クラウドファンディング(以下、「ECF」といいます。)実施後の次の資金調達(増資)の円滑化及びECFを通じて株主となった投資家(以下、「ECF株主」といいます。)に対するエグジット機会の提供を目的としています。
2.内容
・ECF実施後に、事業会社が一定規模(想定金額:【1】億円以上)の増資(新株発行)をベンチャーキャピタルやコーポレートベンチャーキャピタル等(合わせて、以下、「VC等」といいます。)に対して行う場合、VC等が既存のECF株主から株式を取得することができます。
・ただし、取得価格は、①VC等に対する増資価格と、②ECF実施時の募集株価を基準に一定の倍率※をかけた価格のいずれか高い方となります。
※倍率は、個別案件ごとに決定されますが、想定倍率は次の通りとなります。
半年以内:【1.2】倍、半年~1年以内:【1.5】倍、1年超~:【2.0】倍
3.留意点
・第6条は、一定規模の増資を行う場合にVC等によって必ず行使される訳ではありません。
4.具体例
2021年10月1日
・株式会社XがECF実施/株主間契約締結
・調達額5,000万円 株価(募集価格)@10,000円
2022年12月1日
・株式会社Y(コーポレートベンチャーキャピタル)に対し、第三者割当増資実施
・調達額2億円 株価(払込金額)@50,000円
<ケース1>
Y社が、第6条の権利を行使=ECF株主から株式を取得
・株主間契約締結後から1年超が経過しているため、①増資の払込金額(@50,000円)と、②@10,000円×2.0倍=20,000円を比較し、①の方が高いため、Y社は@50,000円でECF株主から株式を取得(ECF株主は@50,000円にて譲渡)。ECFの株価に対して5倍のリターンとなります。
<ケース2>
Y社が、第6条の権利を行使せず=ECF株主から株式の取得を行わない。
・ECF株主はそのままX社の株主となります。
5.Q&A
Q1: ECF株主のリターンは2倍までと限定されてしまうのではないか?
A1:そのようなことはありません。上記例の通り、取得価格(ECF株主にとっては譲渡価格)は、増資価格との比較でいずれか高い方となりますので、2倍に限定されるものではありません。
Q2:第三者割当増資を行う際、VC等に対して、低い価格で新株発行を行う場合はどうなるか?
例えば、上記例で、@50,000円ではなく、@15,000円で第三者割当増資を行う場合はどう
なるのか?
A2:次のケースが考えられます。
(ケース1)
Y社が、第6条の権利を行使せず=ECF株主から株式の取得を行わない。
・ECF株主はそのままX社の株主となります。
(ケース2)
Y社が、第6条の権利を行使し=ECF株主から@20,000円にて株式の取得を実施。
・ECF株主は、増資価格(@15,000円)に対し、33%のプレミアムで譲渡。当初のECFの株価に対しては2倍のリターンになります。
以 上
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